『はいからさんが通る』で知ったスペイン風邪の流行

新型コロナウイルスの感染者数は毎日更新中なので、言わずもがな。「3密」をできる限り避ける日常を心がけています。
今回、健康管理士として疫学的な歴史をひも解いてみます。

◆スペイン風邪の流行

2020年7月26日付読売新聞に「スペイン風邪 医師の奮闘」という記事がありました。
千葉県睦沢町立歴史民俗資料館 http://www.town.mutsuzawa.chiba.jp/shisetsu/rekishiminzoku/gaiyou-2.html というところで、地元の医師だった河野誠一さんという方が、1920年1月に小学校でスペイン風邪の講話を児童と保護者に行った記録等を公開中という内容。河野先生は学校医でもあり、ワクチンも購入して感染拡大防止につとめていたそうです。

私がスペイン風邪というのを知ったのが、1978年のアニメ『はいからさんが通る』です。マンガ原作にはないエピソードとして付け加えられたものですが、伊集院少尉のシベリア出兵、死亡の報が入った後も伊集院家に残った花村紅緒は女学校に通う暇もない。このまま卒業できずに中退か?というところにスペイン風邪が流行、女学校も休校が続いて、その年は出席日数や試験に関係なくとにかく卒業ということになりました。
担任からその報告を受けた紅緒の親友、北小路環は先生に交渉して、伊集院家に入った紅緒にも特例として卒業を認めてもらい、紅緒が卒業式当日、花村ではなく「伊集院」の名前で卒業証書をもらう場面です。

スペイン風邪についてさらに調べますと、

1.流行は1918年から1919年
2.今でいうところのインフルエンザ
3.日本では人口の約40%が発症し、38万人近くが死亡
4.若年者の死者が多かった
(参考:健康管理士「ほすぴ」第175号)

とのことです。若年者の死者が多かった理由は、体内に免疫を持たない新型ウイルスが進入すると、サイトカインストームという過剰免疫反応が起こり、急性肺障害を引き起こすことがあり、免疫機能が活発な若年層が犠牲になった、という説も紹介されています。

◆米騒動も起こる

シベリア出兵の影響でスペイン風邪が流行。この影響で米価が上がり、日本国内で米騒動が起こります。
そういえば、冗談社の入社試験を受けに行った紅緒が、米騒動の取材を命じられます。騒動に参加して警察に捕まり、青江編集長にもらい受けされる場面もありました。
翻って令和。新型コロナウイルスでマスク、消毒薬、小麦粉、ホットケーキの粉が不足したことがありました。
この辺が似ているといえば似ているかも。

◆疫学予想を根気強く

ある集団の中で、疫病がどの程度発生しているかを数や率で把握し、予防医学にすることを「疫学」といいます。
新型コロナウイルスに関しては、無症状の人から感染する可能性があること、基礎疾患がある人や高齢者が重症化しやすいこと、飛沫感染するらしいことが報道されていますが、一刻も早い解明と収束を望みます。