【中小企業の羅針盤012】持続可能な企業経営と防災・BCPの統合

1.短期的なコストではない防災・BCPは未来への投資という視点

防災対策やBCP(事業継続計画)の策定には、一定のコストがかかるのは事実です。しかし、これらを単なるコストとして捉えるのではなく、将来の事業継続性を高め、企業価値を守るための 投資と考えるべきです。

自然災害や予期せぬ事態が発生した場合、事前の備えがある企業とそうでない企業とでは、その後の事業回復のスピードや経済的な負担が大きく異なります。長期的な視点で見れば、防災・BCPへの先行投資は、事業の持続可能性を高める上で不可欠な要素と言えるでしょう。

2.ESG投資と防災・BCP:企業評価における新たな視点

近年、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮した経営を行う企業を重視するESG投資が拡大しています。防災対策やBCPの整備は、従業員の安全確保や地域社会への貢献、そして事業継続性の確保という点で、まさにESGの要素と深く関連しています。

政府系企業や金融機関は、企業の持続可能性を評価する上で、防災・BCPの取り組みを重要な指標の一つとして捉えるようになってきています。

3. 防災・BCPを経営戦略の中核に

持続可能な企業経営を実現するためには、防災・BCPを単なるリスク対策として捉えるのではなく、経営戦略の中核に組み込むことが重要です。

事業継続を前提とした経営戦略を策定し、全社的に防災意識を高め、 効果的な訓練を継続的に実施することで、企業全体のモチベーションを高めることができます。防災・BCPを経営の重要な柱とすることで、企業は不確実な未来を生き抜き、持続的な成長を遂げることができるでしょう。

次回からは、社会リスク分野にFocusした切り口となります。まずは食品表示法についてご説明いたします。

(ウカワ マミ)


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