【中小企業の羅針盤014】景品表示法を遵守するための重要ポイント

1.消費者を守る法律:景品表示法が目指すもの

ネット広告やSNSを使った販促活動は、商品やサービスの魅力を伝える上で不可欠です。しかし、その表現が誤解を招くものだったり、実際よりも過大な景品を約束したりすると、消費者は正しい判断ができなくなってしまいます。

景品表示法は、こうした不当な表示や景品類を規制することで、消費者が安心して商品やサービスを選べるようにするための法律です。この法律に違反した場合、行政指導や罰金、さらには社会的信用を失墜するような深刻なリスクを負うことになります。

2.知っておくべき「不当表示」の2つの種類

景品表示法で特に注意すべきなのが「不当表示」です。これは大きく2つに分けられます。

• 優良誤認表示…商品の品質や内容が実際よりも優れていると誤解させる表示です。例えば、「このサプリメントは飲むだけで1週間で5キロ痩せる」という表示に科学的な根拠がなかったり、「国内産」と書かれているのに一部が海外産だったりする場合がこれにあたります。商品の効果や性能、品質について広告する際は、客観的なデータや証拠を基にすることが重要です。

• 有利誤認表示…商品の価格や取引条件が、実際よりも著しく有利であると誤解させる表示です。例えば、「今だけ半額!」と書いてあるのに、実際には期間を定めずに常に半額で販売していたり、「他社より断然安い!」と根拠なく表示したりする場合がこれにあたります。価格に関する表示をする際は、消費者が誤解しないように、比較対象や条件を明確にする必要があります。

物販ではありませんが、オンラインサロンが開設される前の無料説明会で「先着50名は月会費980円」「51番目以降の人は月会費1,980円」「2期生以降になると月会費が値上がりする可能性も」という表示をされた場合に、景品表示法や特定商取引法に抵触しているのではないだろうか?という冷静な判断を下す時間も必要です(昔、これを指摘したらサロン運営者に牙をむかれて嫌な思いをしたことがあります。結局、そのサロンには加入しませんでした)。

3.広告・販促のチェック体制と企業に求められる姿勢

企業の規模に関わらず、景品表示法を遵守するためには、担当者任せにせず、組織全体で取り組む必要があります。

広告物を作る段階で、法的な問題がないかを複数人でチェックする体制はもちろんのこと、表示内容の根拠となるデータや資料を、いつでも提示できるよう保管しておくことも重要です。紙だと大変なので、データ化してわかるところに保存するのもよろしいでしょう。

ネット起業で儲けた人の中には、食品表示法や景品表示法や特定商取引法を遵守せず、「やったもの勝ち」なやり方を強引に行う人もおられます。

景品表示法は、中小企業を制限するものではなく、健全な競争の中で、消費者の信頼を得るために守らなければならない最低限のルールです。

面倒かもしれませんが、この法律を正しく理解し、誠実かつ迅速な情報発信を心がけることが、長期的な企業価値向上につながります。これも観方を変えれば「社会性のBCP」だと思います。

次回は、連載の最終回になります。事業開始を予定する起業家のみなさま向けに、気をつけなければならないリスクについてお話いたします。

(ウカワ マミ)


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