【中小企業の羅針盤002】事業継続の生命線!BCP(事業継続計画)策定の基礎と重要ポイント

1. なぜ今、BCPが企業の生命線となるのか?

近年、予測不能な自然災害や感染症の流行、サイバー攻撃の高度化など、
企業が事業を継続していく上で様々なリスクに直面する機会が
増えています。マスコミを賑わせているクマの出没や、
米不足なども企業リスクにつながる可能性は十分にあります。

このような不測の事態が発生した際、事業活動を中断させることなく、
または中断した場合でも迅速に復旧するための計画、
それがBCP(事業継続計画)です。

BCPは単なる防災対策ではありません。
事業の中断によって生じる顧客からの信頼失墜、売上減少、
市場シェアの喪失といった二次的な被害を最小限に抑え、
企業の存続そのものを守るための重要な戦略なのです。
特に、経営基盤が脆弱な中小企業にとって、
BCPの策定は事業継続の生命線と言っても過言ではありません。

2.BCP策定の基礎:事業継続のために不可欠な3つの要素とは

BCPを策定する上で、まず理解しておくべき基礎的な要素が3つあります。

第一に、「事業影響度分析(BIA)」です。
これは、事業のどの部分が中断した場合に最も大きな影響が出るのかを
分析するプロセスです。重要な業務プロセス、依存している社内外の資源、
許容できる中断時間などを明確にすることで、
対策の優先順位をつけることができます。

第二に、「目標復旧時間(RTO)」と「目標復旧時点(RPO)」の設定です。
RTOは、事業を再開させなければならない目標時間、RPOは、どの時点までの
データを復旧させる必要があるかの目標時点を示します。
これらを明確にすることで、具体的な復旧戦略を立てる際の指標となります。

第三に、「事業継続戦略」の策定です。
これは、事業中断時にどのように業務を継続または復旧させるかの具体的な
方法を定めるものです。
代替手段の確保、人員配置、情報システムの復旧手順などを検討します。

3.実効性を高めるための重要ポイント

BCPは策定したら終わりではありません。
その実効性を高めるためには、いくつかの重要なポイントを
押さえる必要があります。まず、策定プロセスにおいては、
経営層の理解が不可欠です。
トップの理解と支援なしには、全社的な取り組みとして
浸透させることは難しいでしょう。

次に、策定されたBCPは、定期的な訓練やシミュレーションを
通じて、その有効性を検証し、改善を繰り返す必要があります。

机上訓練だけでなく、実際に代替設備を使用したり、
リモートワークを実施したりする実践的な訓練が重要です。
また、事業環境や組織体制の変化に合わせて、BCPも定期的に見直し、
最新の状態に保つことが不可欠です。

BCPは、策定・実行・検証・改善のサイクルを継続的に
回していくことで、初めてその真価を発揮するのです。


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