「全国知事会」ってどんなところ?

コロナウイルスの感染拡大防止とGo Toキャンペーンその他経済活動、経営者支援、豪雨災害等々、全国には様々な問題があります。
そんな中、「全国知事会」の活動がニュースやワイドショーで報道されることが多くなりました。歴史や活動内容をちょっと調べてみました。

◆おおまかな歴史

全国知事会ホームページと2020年8月6日付読売新聞「知事会 コロナ積極提言 ■オンラインで意見集約」という記事によりますと、

1.全国知事会は1947(昭和22)年に全国地方自治協議会連合会として発足、1950(昭和25)年に現在の名称になる
2.現在の会長は13代目で徳島県の飯泉嘉門知事が務める
3.知事会内部は、委員会やプロジェクトチーム等に分かれていて、各都道府県知事が掛け持ち

ということがわかりました。発足間もない頃には、初代と2代目会長を東京都知事が務めていました。2代目会長の東龍太郎知事が、IOC委員もやっていて、1964年の東京五輪招致に関わった人です。東知事時代の副知事が、のちの都知事で6代目の会長になる鈴木俊一知事で、鈴木知事が会長時代の1993年の6月18日に「地方自治法」が改正されて、内閣や国会に意見書提出が可能になりました。
全国知事会に変革期が起こったのは2003年です。岐阜県の梶原拓知事が9代目会長に就任し、地方分権改革を求める「闘う知事会」というのがスローガンになりました。

◆開催回数が増えた2020年

2011年の東日本大震災以後は大きな問題も起こらず、サロンの様相。状況が一変したのが、今回の新型コロナウイルス。
これまでは、全国知事会の開催は年に2~3回で、東京事務所長、副知事等の代理出席も多数ありました。
しかし、今年の2月から新型コロナウイルス対策本部を設置、すでに10回開催されています。
今年の6月4日の第5回から、全面的なオンライン開催。緊急事態宣言解除後の重要な局面だったので、全国47都道府県中、45都道府県の知事が出席。兵庫県は副知事が代理出席、欠席は鹿児島県のみという高い出席率でした。
この非常時でもありますし、地元にいながら出席できるので、経費削減にもつながります。

鹿児島県が代理出席でも出していれば全都道府県出席だったのですが、どうして欠席だったんでしょうか。
ちょっと興味が沸いて、鹿児島県庁のホームページを調べました。6月4日当時の鹿児島県知事は三反園訓知事で、選挙の結果、今年7月から塩田康一知事に交代しています。6月4日は10時から県議会本会議(代表質問)と記載されてますので、県知事の出席は難しい。
しかし、三反園訓知事、最後の記者会見の記録が「令和2年5月8日定例知事記者会見」で、全国知事会の約1か月前、緊急事態宣言中。当然、新型コロナウイルス関連で、PCR検査拡充・家賃補助・9月入学についての質問が出ています。6月4日の全国知事会でもこの辺は遡上にのぼっているようです。知事・副知事レベルの出席が難しいならば、鹿児島県東京事務所という出先機関が「都道府県会館12階」にあります。
実は、6月4日にオンライン開催された全国知事会、オンライン本部は同じ都道府県会館内で、開催写真が読売新聞に掲載されています。エレベーターか階段使えば「ここから出席させて下さい」と言える距離です。代理出席させた上で会議内容を随時、三反園知事にあげる→開催中の県議会本会議でダイレクトに発信できると考えなかったのでしょうか。
今回、鹿児島県のホームページを閲覧しましたが、知事が過去に予定されていた公務を突然キャンセルした理由、九州で一番高い知事給与や期末手当・退職金の削減についてどのように考えるのか等について、つっこんだやりとりの記述がありました。
これらの積み重ねで、7月に知事交代が起こったのが何となく理解できました。

◆一枚岩ではないがここに注目!

財政規模も人口も主要産業も違うので、各都道府県全てが一枚岩になるというのは難しいことです。
しかし、8月8日に開催された全国知事会では、規制を控えるよう求める国民向けメッセージを発表。8月11日には西村経済再生担当大臣と新型コロナウイルス緊急対策本部の会談が行われ、地方創生臨時交付金の増額を提言しています。
私が今後、地元の知事の活動を知る手段として注目しているのは、

1.全国知事会にきちんと出席しているのか(代理出席も可)
2.知事会できちんと発言しているのか
3.知事はどこの専門委員会に所属してどんな活動をしているのか

です。見た目がよい、マスコミ出身であるということが大切なのではなく、地元の代表としてビジョンをきちんと持っているのか、知事会で話題になった内容について、自身の県政に反映させているのかというのを見ていきたいです。
「よそに出して恥ずかしくない知事を選ぶ」というのも、一票を投じる有権者の責任なので…。