【中小企業の羅針盤010】BCP見直しと改善のサイクル!変化に対応するための継続的進化

1. グローバル化が加速させるBCPの進化

BCP(事業継続計画)は、一度策定したら終わりではありません。事業環境、組織体制、技術の変化、そして新たなリスクの出現など、企業を取り巻く状況は常に変化しています。加えて、近年のグローバル化の進展は、BCPのあり方を大きく変えつつあります。従来の日本のBCPは、地震などの自然災害に特化したものが主流でした。しかし、サプライチェーンの海外展開や国際取引の増加に伴い、海外拠点の政治リスク、テロ、感染症など、多岐にわたるリスクへの対応が不可欠となっています。海外の取引先からBCPの策定を求められるケースも増えており、BCPは国内のみの備えではなく、グローバルな事業活動を支えるための重要なツールへと進化しているのです。

2.BCPの最新国際動向

BCPの国際基準である「ISO 22301」の動向は、世界のBCP事情を読み解く上で重要です。この規格は、事業継続マネジメントシステムの要求事項を定めたもので、2019年の改訂により、他のISOマネジメントシステム規格(品質や環境など)との整合性がさらに高まりました。これにより、グローバル企業が世界共通の基準でBCPを構築・運用しやすくなっています。海外では、日本のBCPが地震対策に重点を置くのに対し、より多様なリスク(テロ、政情不安、感染症など)を想定したBCPが一般的です。こうした国際的な流れに乗り遅れないよう、自社のBCPがグローバルな基準に照らして妥当なものか、定期的に見直すことが求められます。

3.見直しと改善のサイクル:変化に対応するBCPを築く

BCPを実効性のあるものにするためには、策定・実行・検証・改善というPDCAサイクルを継続的に回すことが不可欠です。事業影響度分析(BIA)の結果が現在の事業状況を反映しているか、目標復旧時間(RTO)や目標復旧時点(RPO)は現実的か、BCP訓練で明らかになった課題は改善されたかなど、多角的に計画を評価します。特に海外に事業拠点を持つ企業は、現地のBCPに日本の本部が関与する管理体制の構築や、異なる文化・言語の従業員への浸透といった課題にも取り組む必要があります。変化の激しい時代を生き抜くためには、BCPを一度作って終わりではなく、常にアップデートし、組織全体で共有する文化を育むことが、事業の強靭性を高める鍵となります。


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