「大都会」黒岩軍団もビックリ!令和2年上半期の刑法犯

STAY HOME で3密を徹底的に避ける生活を続けています。
そんな中、自分の知識の棚卸しで危機管理や防災の事例をまとめていて、ちょっと昔の刑事ドラマを思い出し、確認のために動画配信サイトで探したら、ありました!

◆丸の内時代の都庁が登場

そのドラマは、『大都会PARTⅢ』です。『西部警察』の影にすっかり隠れがちですが、中3の頃に夕方4時の再放送がありまして、確か石原裕次郎さんの追悼放送の扱い。
大門軍団ではなく黒岩軍団だし、クロさん(渡哲也さん)、ジロー(寺尾聰さん)、トラ(星正人さん)、サル(峰竜太さん)、坊さん(小野武彦さん)、マルさん(高品格さん)、弁慶(苅谷俊介さん)、課長(高城淳一さん)、宗方医師(石原裕次郎さん)がレギュラー。
特に覚えていたのが都庁に関わる回だったのですが、ざっとこんなあらすじ。

タイトルは「東京クライシス」。過激派を名乗るグループが、東京都に5億円を要求。要求に応じなければ、都内のある施設に爆弾を仕掛けると脅迫するのですが、愉快犯の可能性もあるし、都の財政上、そのような大金は支払えない、と警視庁への相談のシーンから始まります。
犯人グループは、別件で強盗事件も起こし、現場に急行したトラと弁慶が犯人を追跡するも取り逃がす。車のナンバーから犯人の1人を逮捕するものの、これがまあ、中々口を割らない。で、70年代刑事ドラマのお約束、「厳しい取り調べ」のシーンで、ボコボコの状態が展開されます。

犯人グループは仲間の釈放を要求、脅しじゃないという意思表示に車を爆破。都は5億円の支払い要求を呑みます。
当然、黒岩軍団としては要求に屈するわけもなく、アジトを突き止めて家宅捜索。捜査の肝は「犯人が爆破を狙っている場所」の特定作業です。
アジトに残されたメモを元に、「変電所・ガスタンク・浄水場」の都民ライフライン施設がターゲットだと割り出します。また、犯人からの電話の音声にプロペラの音を聞きつけたサルが、セスナ機の会社に片っ端から電話をかけて、フライト予約を確認。
飛行場に先回りした黒岩軍団が犯人グループといつも通りの銃撃戦。
クロさんの『日暮れ坂』が流れて、横一列で並んでタバコを吸って、エンディングクレジット!

◆実際にこんなことが起こったら

1.聞きなれない過激派グループ名であっても全国規模で背後関係を洗う
2.脅迫が本物だとわかった時点で、マスコミが報道する
3.議会の議決を経ずに5億円は支払えない

といったところでしょうか。ただし、「こんなこと全くありえない」とも言えません。
14~5年前になりますが、「テロ対策特措法」というのが議論になったことがあります。その流れを受けて、日本国内の原子力発電所の施設見学の内容が一新されました。以前は広報活動、情報公開の一環で原子炉建屋やタービン建屋を一般公開していたのですが、PR館での見学と関係者の模型説明に変更されました。

東京都は今でも都民への情報公開の一環として、水再生センターや浄水場の見学会というのを開催しています(現在はコロナで中止)。仮にこのような事件が起こった場合、見学会の中止理由の公表と警備と近隣対応をどうするのか?という課題があります。
本来なら今年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されていたので、警視庁も訓練してたんだろうなあと思いますが…。競技場以外を狙ったテロへの備えというのは、いついかなる時にも大切です。

◆ドラマ放映時の1978年はこんな年

それにしても、このドラマ全編に漂う緊張感が、昨今のテレビドラマとは違う。
というのも、放送された1978年に発表された「警察白書」によれば、

 

 

1.1977(昭和52)年の刑法犯の認知件数は126万8,430件で、前年より2万799件の増加
2.ハイジャック事件4件、バスジャック事件1件が発生

と書かれています。「テロ」への緊張感がお茶の間にも浸透していたのでしょうか。
一方、7月31日付読売新聞に掲載された今年上半期の刑法犯は、30万7644件で18年連続で減少しています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛が影響したとの見方が大半ですが、1978年にはなかった「特殊詐欺」の件数が増えています。

3密回避のため、ソーシャルディスタンスを守りすぎて尾行をまかれたり、ドアノブを先に消毒しちゃって指紋を取り損ねたり、取調室にアクリル板がつけられた、なんてことがあったりして。
「敵は絶対に逃がすな!」の黒岩軍団もびっくりだろうなあ。